たとえば、新宿。
新宿によく行っている私にとっては、いつも通りの風景。いつも通りの風景だからこそ、フィルムで撮るとまた違ったものに見える。新宿の信号と、2回目の出会い。
非日常的な時間を過ごしたとき。
いつもとは違う時間を過ごしているからこそ、フィルムを使いたかった。枚数に限りがあるから、ちゃんと何を撮るか悩んで「室内だからフラッシュだ!」って思い出して撮る。ホットケーキの味も、幸せだった気持ちもまた思い出せた。
夜の駅のホーム。この日は大みそか。
大みそかの街は、考えられないくらい静かで。普段は女がキャーキャー言いながら歩いている土地も、タクシーが通るくらいの音。
大みそかなんて、実家に帰ったり、友人や恋人とのんびりしたりするのが普通だろう。どこだっけなこれ。ちょっと痴呆だからすぐには思い出せないんだけどさ。みんなが家でまったりしてる中、ビール片手に写真を撮り歩くなんとも言えない気持ち。
クリスマスだったらきっと、「カップル消滅しろ!」って思ってるんだろうな。でも、街には誰もいなくて。人もいないのに、誰にも見られていないのに光らなくちゃいけないイルミネーションもあって。酔っ払った身体と冷たい空気が心地よくて。
いつもだったら気に止めないようなところだけど、夜でフィルムで撮っていると思ったら注目せずにはいられなかった。ひとんちのブレーカー。
フィルムのいいところは、「撮ったことを忘れられる」こと。デジタルはすぐに確認して、現像して、ってするけれど、フィルムはそうはいかない。決められた枚数分きっちり撮らないともったいない。お金を払って、プロの人に現像をしてもらって初めてどんな写真が撮れているかがわかる。
撮りはじめからフィルムを現像し終えるまで、なかなかの時間がかかる。時間がかかるから、最初の方って何を撮っていたか忘れるんだよね。現像してもらって、見て、思い出す。一ヶ月間くらいのタイムカプセルみたいなものよね。
単純に言えば、自分がいいなって瞬間と「2回目のはじめまして」ができるのがフィルムな訳で。すっかりフィルム写真に夢中です。
また写ルンですを買って、毎日持ち歩いて、いいなって思ったものを撮りためていきたいな。
ちょっと真面目に書いたから恥ずかしいや。こんなときの魔法の言葉。
おっぱい!!!